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いつの間にか手の届かないところまでいっていた掛け布団を引っ張り戻して、一郎の細い体の上に掛けてやる。

晩秋の夕暮れ、急激な冷え込みが始まっていた。

そっと一郎を抱き締める。

ついさっきまで溶け合いそうなほど熱く抱き合っていたのに、一郎の肩口はもう冷たくなっていた。

「な、一郎」

意を決して、囁きかける。

余韻の為か一郎はうっとりとした表情で加山を見つめてきた。

「俺と山を降りよう」

「・・・・・・」

「もうすぐ雪が降る。雪が降ったらそう簡単にここには来れなくなるんだ・・・」

「・・・・・・」

「村での生活は約束するから。悪いようにはしないから」

いくら言葉を尽くしても、一郎は首を縦に振らなかった。

加山にも苛立ちが募る。

雪が降り出せはそう簡単には一郎に会いに行けない。

会えないだけでも辛いが、雪に覆われた山で一郎はどうやって冬を越すというのだろう。

去年、越せたからといって今年も越せるとは限らない。

それが冬の厳しさ。

第一、一郎は何の食物を入手する手段も持ち合わせていないのだ。

加山は今日一郎を説得すると心に決めていた。

「一郎、一緒に行くって言え」

「…いやだ」

迷いもなく一郎は答える。

「一緒に行くって言え!」

「いや!」

こみ上げる怒りのままに一郎に挑みかかる。

妙な興奮が自身をいきり立たせていた。

「やっ、あ!・・・アぁ」

いきなり足を大きく開かされ、雄を受け容れさせられた一郎は悲鳴を漏らすが、先ほどまでの行為に散々ほぐされていた肉は容易に加山を受け容れる。

最初から容赦のない突き。

一郎の腹筋がひくひく波打つ。

ほどなくして一郎自身は白い蜜をとろとろと流し始めた。

加山が奥を掠める度に一郎の薄紅色の茎の先端はぷくっと膨らみ、花弁に生じた朝露のような蜜を溢れさす。

激しい腰の動きに、蜜はあっという間に先端のくぼみに収まりきれない量になり、涙のように次々と流れ出した。

最初嫌がる素振りを見せていた一郎も、加山の動きにあわせて夢中になって腰を振り、蜜を零しながら寂しげに揺れる自身に手を添えて慰めはじめる。

「あっ、いい。加山いいっ」

達しそうになる一郎の根元を加山は両手で押さえてしまう。

「いや、やめろ」

一郎の叫びもむなしく、加山自身も一郎の体から引き抜かれる。

物足りなさに一郎は体を大きく捩った。

「お願い・・・」

懇願する一郎に加山は告げる。

「一緒に行くって言ってくれ」

加山も必死だった。

一郎と離れてたまるかという思いに取りつかれていた。

返事をしない一郎から体を離す。

立ち上がって一郎を見下ろすと、一郎は怯えたように身を縮こませていた。

長い沈黙。

「いっしょに・・・いく、から」

その言葉を聞いた瞬間、加山は一郎にのしかかり再びその体を犯していた。

絶頂間近にあった一郎の体は加山を呑み込む悦びに弾ける。

悲鳴とともに白濁液が散った。

加山はそんな一郎を無視し、一郎がもう出来ないと泣いて訴えるまで一郎の体を使い続けた。

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寒い風が吹き始めると、急に人肌恋しくなる。

 

 

 

その日も加山は家の手伝いもそこそこに山へ出かけていた。

晩秋の夕暮れ、囲炉裏に火を起こし、そのすぐ傍で再会の儀式。

昨日も会ったばかりなのに、性急に求めすぎて一郎を怯えさせてしまうほど、飢えていた。

「あっ、あ」

一郎が小さく蕩けた声を上げる。

その声音に含まれた怯えた響きすらも加山を煽りたてた。

囲炉裏の火に照らされた左頬が火照って熱を孕んでいる。

襟を寛げていくと、わずかに日に焼けた腕や足よりも更にきめの細かい白磁のような肌が現われた。

加山がとりつかれた様にあちらこちらを吸い上げていくと、肌に薄紅色の花が散る。

一郎はきゅっと瞳を閉じていた。

「ちょっと、ごめんな」

急に加山が一郎の体をひっくり返し、双丘を左右に開き窪みに舌を這わす。

「ひゃあ」

虚をつかれた一郎はいやいやと首を振る。

構わずに吸い付き、舌を押し込んでいくと、悲鳴を上げながら一郎の体が崩れ落ちた。

くたんと脱力した体を仰向けに転がしてやると、濡れそぼって激しく上下する胸。

「すぐにいっちゃったな」

顎についた飛沫まで丁寧に舐め取っていると、一郎の体がくねりだす。

加山に素直に素直に躾けられた体。

我慢なんて出来ない。

「なぁ」

短い言葉で、可愛らしいおねだり。

でも、白い蜜の下から現われた蛇苺のように小さな実を愛するのに忙しくて、「もうちょっと待って」と答えると、一郎は頬をふくらませ両手で胸を覆い隠してしまう。

「加山ぁ…ちょうだい」

潤んだ瞳で、二度目のおねだり。

これ以上焦らすのはかわいそうに思い、土間に置いてある菜種の壷に手を伸ばし、油を自身に塗りつける。

一郎の脚を高く持ち上げ、痛い思いをさせないようできる限りゆっくりと押し入る。

ぬぷりと呑み込まれる快感にさらわれそうになり瞳を閉じた。

一郎のなかはとろとろで熱い。

「愛している」

そう囁くと、一郎はぎゅっと閉じていた瞳をうっすら開き、あいまいな笑みを浮かべた。

言葉の意味を知らないのかもしれない。

「愛している」

でも、熱っぽく囁くたびに、一郎の濡れた瞳は揺れ、加山を受け入れている箇所はきゅうと締まる。

ゆっくりと抜き差しを繰り返しながら、思いを込めた言葉を降らせているとー

「あい、してる」

熱に浮かされた口調で一郎の紅い唇が零す。

ただ、嬉しくて力の限り一郎を抱き締め、無茶苦茶に突いた。

そんなことをすれば、一郎の体は瞬時に絶頂にまで引き上げられ、涙声で終わりを告げる。

「でる、でるっ」

加山の背中を掻き毟りながら、二人の体の間にとろとろと蜜を吐く。

一郎の締め付けに耐え切れず、加山も一郎の腹に精を放つ。

眩暈のような甘い余韻に襲われながら恋人を見遣ると、一郎の額には汗が粒が光り、表情は虚ろながらも満足感からか妙に艶めいていた。

石でできた大きな箱の蓋はこの墳墓の入り口と同じく僅かにずれていた。
一郎は僅かな隙間から中に手をつっこむ。
何かを探しているようだ。
瞬間的にはそれが何だか分からなかった加山もそれが石棺であるとすぐに気付く。
「一郎!墓荒らしなんかしちゃだめだ!」
祟られてしまう。
必死にそう訴えても一郎は聞く耳を持たない。
「あった!」
嬉しそうな声とともに一郎が取り出したのは錆びた剣だった。
「これやる」
差し出された剣を受け取ると、ずしりと重かった。
細かいところまでは見えないが、墳墓に納められるような剣だ。
良い品に違いなかった。
「加山、嬉しくないのか?」
伺うように一郎が聞いてくる。
一郎は俺が当然喜ぶと思っていたようだ。
がっかりとした表情をしているのが分かる。
「嬉しくないわけじゃなくてな…」
どう伝えていいのか困る。
「これは人の物だろう。それを取るのは良くないことだ」
一郎にとっては盗品を贈ることも悪いとは思っていないのだろう。
できるだけ平易な言葉で告げる。
しかし、返ってきた言葉は意外なものだった。
「ここはじいちゃんの家。だから、大丈夫」
「え」
「だから、やる」
意味が分からず、ただただ困惑する。
「ここは空気薄い。早く出よう」
一郎が手を引く。
たしかにここは息苦しい。
剣は一郎をゆっくり説得してから返しにくればいいと思った。
ふと、気になって石棺の中を覗く。
見てしまったものにぎょっとなって、もう一度覗き込んだ。
何度見ても変わらなかった。
石棺の中に横たわっていたのは白骨化した獣だった。

秋のよく晴れた日。
「ついて来い」
一郎はそう言った。
山道を手慣れた様子で歩く一郎。
俺は遅れないようについていくのがやっとだった。
「おい。どこ行くんだ?」
そう聞いても一郎は振り返り、微笑むだけ。
俺は狐に包まれたような気分になりながらも、上機嫌な一郎の背を追った。
一郎は朱塗りの鳥居をどんどん抜けていき、頂上に近い辺りで参道から逸れる。
それでも一郎の歩みは変わらず、一心にどこかを目指しているようだった。
「ついた」
そう言われて辺りを見回しても、何も見えない。
こんもりとした丘が目の前にあるだけだった。
「何があるんだ?」
一郎はまた歩き出す。
胸の辺りまで草が生い茂っていて、かなり歩きにくい。
丘陵の端まで歩いていくと、いきなり大きな岩が見えた。
「これ何だ?」
「家の扉」
岩の傍には子どもなら通れそうな隙間があり、
奥に何かがあるとこが分かった。

一郎は身体を横にして隙間をすり抜ける。
俺も慌てて岩に身体をぶつけながらなんとか通り抜けた。
良くは見えないが、細い道が続いているのが雰囲気で分かる。
「おい!」
真っ暗な洞窟をすたすたと歩く一郎に呼びかける。
「戻ろう!!」
ここには入ったことはないが、これと似たような場所は何箇所も知ってる。
これは墓だ。
しかも、大昔の。
俺達が入っていいような場所ではない。
ほとんど周囲が見えないながらも、必死に走って一郎に追いつき、肩を掴んだ。
「一郎…ここは駄目だ。祟られる。帰ろう」
死に人の安らかな眠りを妨げていいはずがない。
なのに、一郎は首を横に振る。
表情は良く見えなかった。
「加山。大丈夫。行こう」
一郎が俺の手を取る。
しっかりと握ってまた歩き出した。
一郎の足取りには迷いがない。
よほど何度も来ているのだろう。

ほどなくして視界が拓けた。
暗い中でも小さな部屋があることが分かる。
壁一面に赤色で様々な模様が書いてあり、
部屋の中央には大きな箱のようなものがあった。
その他にも部屋のあちこちに壷や杯が並んでいることが分かる。
異様でおどろおどろしい光景だった。
「部屋ついた」
一郎は言った。

永遠に続くかと思われる見知らぬ景色に加山はため息をついた。
連なる朱塗りの鳥居。
それは幼い頃から加山の見慣れた光景だった。
だから、分かる。
これが慣れ親しんだ風景に似た見知らぬ風景だと。
(さて、どうしたものか・・・)
前に進んで村に戻れるとも限らないが、ここで立ち止まっていても助けがくるとも限らない。
むしろ、ここは山だ。
今は秋とはいえ、夜は冷える。
どこに出るかは分からないにしても、このまま緩やかな下り道に沿って歩いていき、人の世界に出たほうがいい。
加山はそう考え、歩き続けていた。
(それにしても、おかしい)
毎日のように走り回って遊んだ山。
獣道ならともかく、鳥居が立てられているような立派な道を知らないはずはない。
でも、現に小さな鳥居を連ねた細い道が目の前に広がっているのだ。
(新次郎は大丈夫だろうか?)
ふと、共に遊んでいた弟分の新次郎のことを思い出す。
新次郎も今日一緒にこの山に入った。
怖がりの彼までこんな不可解な目に遭ってないといいのだが。
そんなことを考えていると、冷たい一陣の風が吹き抜けた。
森が不気味にざわめく。
加山は身震いした。

しくしくと泣くような声が聞こえた。
加山は一瞬それを幻聴かと思ったが、確かに聞こえる。
木の葉の囁きに混じって微かに聞こえる忍び泣き音。
加山は自然と足を速めていた。
「おい。どこにいる?」
「大丈夫か?」
一向に声が近くならないことに苛立った加山は声を上げる。
しばらく間があって返事があった。
「こ、ここだ」
声がしたのは鳥居の道を少し外れた場所。
加山は少し躊躇ったが、森に足を踏み入れる。
しばらく行くと蹲る人影が見えた。
若い男だ。
足首に針金のようなものが巻きつき血を流している。
恐らくは猪を捕らえる為のくくり罠にひっかかってしまったのだろう。
(それにしても何故)
子どもや年寄りなら分からなくもないが、普通に地面を見ていればすぐ気づくような大きな仕掛けだ。
よほどぼんやりとしていたのだろうか。
しかも、流血しているということは罠から力で逃れようとして暴れた証拠だ。
そんな愚かなこと子どもでもしない。
「動くなよ。助けてやるから」
まだ泣き続けている男に声を掛け、加山は懐から小刀を取り出した。
男の足首を締め上げ続けている針金を切断しようと少しずつ刀を動かす。
針金はあっけなく切れた。
「ほら、もう大丈夫だ」
そこで初めて加山の存在に気づいたかのように男は顔を上げた。
恐怖で泣きはらしたのか目の縁が赤く染まっている。
綺麗な男だと加山は思った。
「ありがとう」
男は微笑む。
男は薄汚れた襤褸の着物を着ていたが、腰には帯ではなく何かの獣の毛皮だろうか・・・白っぽいものを腰に巻き、結んで余った部分は無造作に垂らしていた。
男が立ち上がろうとする。
木々の間から差し込む光が腰巻に当たり、輝いた。
男の腰元で揺れるそれは加山には白銀の尾っぽのよう見えた。
立ったのも束の間、男はふらつき地面に倒れこむ。
足首の傷は見た目以上に深いらしい。
男は整った顔を苦痛に歪めた。
もう一度立ち上がろうと両手を地面につく。
男がそこまでして加山は自分がずっとただ突っ立っていたことに気づいた。
見とれていたのだ。
その男の全てに。
慌てて男に手を貸してやる。
男はなんとか立ち上がった。

加山は男を背負い歩いた。
男の家が近くにあるという。
加山は半信半疑ながらも、男の言うとおりに獣道を歩いた。
「ここ…」
男の指差した先には森と同化していまいそうなほど崩れた荒ら家が存在した。
「あそこに住んでいるのか?」
「そう」
男はきっと乞食か何かなのだろう。
腰巻だけは真っ白な獣皮のものを締めているが、着物自体は汚れてあちこちに小さな穴があいていた。
この山は稲荷信仰で有名な場所だ。
片田舎にも関わらず、年中参拝者が絶えない。
参拝者が山中に点在する社に捧げる供物には食べ物も多い。
そういう物を盗み食べて、この男は生きているのだ。
加山は直感でそう思った。

家の中に入ると、外見と同じく室内も荒れ果てていた。
箪笥や火を起こす場所も見当たらず、あるのは水や油が入っているのだろう数個の壷くらいのものだった。
「こんなところに住んでいるのか?」
男を背から下ろし、訊ねた。
男は寂しそうに頷いた。
すぐ近くに村もあるというのに、こんな廃屋同然の場所で、自分と年頃も近そうな男が、一人で暮らしていることに、加山の胸は痛んだ。
しかし、どうすることもできない。
自分がしてやれることといえば、足首の手当てをしてやることくらいだ。
とはいっても、布の一枚もないこの家では傷口を水で流すことくらいしかできない。
「ちゃんと清潔にしておくんだぞ」
加山がそう言うと、男は小さく頷いた。
その仕草は子どものように幼く、頼りなさげだった。

「もう行く」
こんな生きることも覚束無さそうな男を一人にしておくのは不安だったが、
もう日も暮れようとしている。
帰るしかなかった。
「なぁ、また会えるか?」
傷口が気になって仕方ないのだろう。
ずっと自分の足首を見つめていた男は、顔を上げる。
そして、微かに笑った。
「あ、でも、道が分からない・・・」
よく考えてみれば、加山には帰り道すら分からなかった。
「つく」
「え・・・」
「俺に会いたいと思う。そうしたら、つく」
謎掛けのような言葉だった。
罠に掛かっている時にもちらっと思ったことだが、男は頭も弱いのかもしれない。
そうだとしたら、ますます不憫だ。
加山はその後も道を聞こうと四苦八苦したが、男はあいまいに笑うばかりだった。
「なんとか自力で帰るよ」
そのほうが早いと感じた加山は家を出た。
辺りはもうかなり暗くなっていた。
「いそがないと・・・」
足早に歩き出そうとして、加山は思い出す。
男の名前をまだ聞いていなかったことに。
今、閉めたばかりの扉を開けて、訊ねる。
「お前、名前は?」
「一郎・・・」
男は答えた。
それは不可解な出来事としかいいようがなかった。
一郎に会いたいと思う。
そう思い、山へ入っていくといつのまにかあの荒ら家の前に辿りつくのだ。
どこをどう歩いたのかは覚えていない。
でも、辿りつく。
最初は魔術にでもかかったかのような違和感を感じたが、次第にそれも感じなくなった。

会いたいと思えば、会える。
それが事実だから。



出会った翌日には握り飯を持って、会いに行った。
日中に一郎を見てみると、昨日感じた以上に服や肌が薄汚れていた。
だから、川に連れて行って、流れを石で堰きとめて囲いをつくってやり、
そこに焼け石を投げ込んで、即席の風呂をつくってやった。
いくら石で流れを堰き止めてもぬるま湯くらいにしかならないが、
この季節、水浴びをしては風邪を引いてしまう。
嫌がる一郎の着物を無理やり脱がせ、風呂に入らせた。
風呂自体に入ったことがなかったのだろうか一郎は顔を顰め、足しか湯に浸そうとしなかったが、近くで着物を力任せに洗っていると、いつのまにか胸まで湯に浸してまんざらでもない顔をしていた。
「気持ちいいだろ?」
洗う手を止めて話しかけると、一郎ははにかみながら頷いた。
「糠袋でこするともっと綺麗になるんだぞ」
「・・・きれい?」
「そう。ぴかぴかつるつるだ」
「つるつる」
「今度持ってきてやるな」
「うん」

一郎は加山の言葉をおうむ返しにすることが多かった。
その様は言葉を取得しつつある幼子のようである。
言葉少なだった一郎の語彙は次第に増えつつあるような気がする。
もしかしたら、一郎は加山と会話をして言葉を学んでいるのかもしれない。
最初、言葉をもちあわせないようにあいまいに笑うことが多かった一郎は次第に年相応の言葉を話すようになっていった。
加山は加山で、一郎の世話を焼くのを楽しんでいた。
せっせと生活に必要そうなものを運んでやり、身の回りのことをしてやる。
親は家の手伝いをしないと怒り、弟分の新次郎は遊んでくれないとむくれたが、加山は一向に気にしていなかった。
一郎が笑えばそれで満足なのである。





その日、加山は大きな布団を抱えて山を登っていた。
「一郎!」
荒ら家を前に叫ぶと、家から飛び出してきた一郎は目を丸くした。
「これ何?」
「ふ・と・ん。まさかこういうのは見たことないか?」
訊ねると一郎は大きく何度も首を縦に振った。
もうすぐ季節は冬を迎えようとしているのに一郎の家には
何年使っているのだろうかという風な煎餅布団しかなかった。
加山は前々から一郎に山を下りて、村で生活することを勧めていた。
いくら一郎のことが気になっても毎日この荒ら家に来ることはできない。
村の一員になるつもりはなくても村の外れにでも住んでいてくれたら、
どれだけ安心できるだろう。
食べ物も頻繁に運んでやることができる。
しかし、一郎は頑として首を縦に振らなかった。
そこで仕方なく暖かい羽毛布団を持っていくことにしたのだ。
「これだったらふかふかだぞ」
そう言って、敷き布団を家の中に投げ込むと、飛びかかるようにして一郎は布団にのっかった。
大して大きくない布団の端から端までをごろごろと転がりながら、
「ふかふか」と呟いて、口には笑みを浮かべている。
そんな一郎の身体の上に加山は掛け布団も投げてやった。
一瞬、布団の中に埋まった一郎はすぐに上半身を起こした。
「ふかふか」
一郎は驚いた顔をしている。
「そうだろう。上も下もふかふかだろう」
思ったとおりの反応に満足し、加山は布団で遊ぶ一郎の様子を飽きずに眺めていた。
「加山、おいで」
一郎が手招きをする。
秘密の遊び場を友人にこっそりと教える子どものようだと加山は思った。
その仕草は愛らしく可愛らしい。
(よくないな…)
加山はそう思った。
今、一郎に無闇に近づいてしまったら、こんなにも純粋な存在を傷つけてしまいそうでー
これは前々から感じていた不安だった。
躊躇する加山に一郎は頬を膨らませた。
「はやくおいで」
もう一度手招きをする。
「はやくぅ」
先ほど拗ねた表情を見せたことなど忘れたかのように一郎は笑う。
「あぁ、いくよ」
加山は吸い寄せられるようにふらふらと歩みよった。

布団の中に入り込むと一郎は持ち上げていた掛け布団から手を離した。
頭から布団をかぶって世界が暗転する。
「まっくらー」
嬉しそうにはしゃぐ一郎を強引に引き寄せた。
一郎は前のめりになって腕の中に納まる。
「加山、まっくらこわい?」
暗闇の中で一郎はきょとんとした声を発した。
顔はよく見えないが、おそらく小首を傾げて微笑んでいるのだろう。
「いいや、怖くないよ」
一郎をぎゅっと抱き締めて囁いた。
「俺は一郎を失うのが怖いんだ…」
聞こえなくてもいいと思ったから。
いや、聞こえないほうがいいと思ったから。
「ん?」
言葉は思ったとおり一郎には伝わらなかったようで、
俺の腕の中で小さく身じろぎしながら「何…なに?」と繰り返している。
その様子があまりに可愛らしくて、これくらくらいは許されるだろうと思い、
白い鎖骨に口づけた。
「ぁ」
一郎が小さく声を上げる。
「くすぐったかった?」
一郎に訊ねる。
一郎は首を横に振った。
「ううん」
一郎は俺の首元に唇を押し付けてきた。
真似なのだろうか。
柔らかな感触。
「くすぐったい?」
一郎も聞いてきた。
「別に…くすぐったくないよ」
俺も首を振る。
一郎は頬を膨らませて、拗ねたような顔をした。
俺の着物の襟元を掴み、何度も唇を押し付ける。
何度も同じ辺りを吸われるとこそばゆい。
「くすぐったい…くすぐったいって」
笑いながら一郎の顔を遠ざけると、一郎もおかしそうに笑っていた。
拒絶の表情がないのが嬉しくて、歯止めがきかなくなり、一郎の唇を吸う。
二度三度繰り返すと一郎が瞳を閉じた。
全てを受け入れるようにー

瞳を閉じた一郎をそっと押し倒す。
「なに」
気配が伝わるのだろうか。
一郎は怯えた表情を浮かべていた。
「一郎が…怖いことはしないから」
髪の生え際の辺りを出来る限り優しく撫で、
抑えきれない欲望を必死に押し込めながら言った。
「しばらく目閉じていて…いい?」
一郎は小さく頷く。
もちろん一郎の綺麗な瞳を見ていたかったが、
一郎に自分の汚い欲望を見透かされそうで、嫌だったのだ。
まぁ、こんなことをしてしまっている時点でばればれなのだろうが。
着物の襟をくつろげていきながら、白い肌に接吻を施していく。
普段露出していない胸や腹の辺りは暗闇の中でも更に白いことがはっきりと分かった。
「俺だけのものになって」
夢中になって唇で触れ、舌で味わう合間に訴えた。
一郎は何も答えない。
ただ、敏感な場所を刺激されるたびに、
身体をくねらせ笑い声を上げた。
何の知識も経験もない一郎にとっては愛撫もこそばされているのと同じなのだ。
しかし、唇が下半身に及び、薔薇色の茎を口腔に含むと、
一郎の声は変わった。
「ひゃぁ」
と驚きの声が漏れ、次第に
「あっ…あ」
乱れた吐息に甘さが混じる。
気持ちと良さげな一郎の反応に嬉しくなって、
夢中で吸い上げた。
ぴんと立ち上がった茎はじわっとを雫を溢れさす。
口に含んだまま先端を舐め、雫を拭うと、また溢れる。
「やっ…だめ」
一郎がしきりに何か訴える。
返事をしてやりたくても、口が塞がっていて出来ない。
宥めるように細腰を撫でているうちに、
一郎は身体を痙攣させ、達した。
懐紙を取り出し、精を吐き出す。
「なに…」
約束を守り、瞳をぎゅっと閉じたまま一郎が聞いてきた。
「もう目開けていいよ」
一郎は上半身だけを起こし、こっちを見た。
呆気にとられた顔をしている。
恐らく射精した経験もほとんど皆無なのだろう。
「触ってみる?」
懐紙を差し出すと一郎は恐る恐る手を伸ばしてきた。
「わ…べたべた」
一郎が顔を顰める。
「一郎のここから出たんだぞ」
茎を指で弾いてやると、一郎はやめろといったかんじで自身を握った。
「びっくりした」
本当に驚いた表情をしている一郎を愛らしく思い、抱き締める。
「悪いことじゃないからな。心配しないでいいから」
腕の中で一郎が小さく頷く。
「どんなかんじだった?」
こういうことを聞くのは不謹慎な気もしたが、
一郎なら怒らないだろうし、どうしても聞いてみたかった。
「うーん」
一郎は小首を傾げる。
「気持ちよかった?」
そう聞くと、何を思い出したのか一郎は頬を赤く染めて、
「気持ちよかった」
と呟いた。



それからは会うたびにふかふかの布団で戯れた。
一郎は相変わらず遊んでいるとしか思っていないようで、
最初はきゃっきゃと声を上げ、くすぐったげに身を捩っているが、
快感が高まるにしたがって、眉を寄せ瞳を潤ませて見つめてくる。
白磁のような肌は桜色に染まり、もっと求めるように腰を浮かせる。
普段の無邪気さからは考えにくい乱れ方に、俺は溺れた。
会うたびに一郎を抱いて、更に底の見えない深みはまっていった。
身体を重ねるにしたがって一郎はさらに懐くようになり、
再会の度に破顔して笑い、別れ際には寂しそうな顔を浮かべる。
離れるとすぐに会いたくなって、日に二度も山に登ってしまったこともあった。
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