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永遠に続くかと思われる見知らぬ景色に加山はため息をついた。
連なる朱塗りの鳥居。
それは幼い頃から加山の見慣れた光景だった。
だから、分かる。
これが慣れ親しんだ風景に似た見知らぬ風景だと。
(さて、どうしたものか・・・)
前に進んで村に戻れるとも限らないが、ここで立ち止まっていても助けがくるとも限らない。
むしろ、ここは山だ。
今は秋とはいえ、夜は冷える。
どこに出るかは分からないにしても、このまま緩やかな下り道に沿って歩いていき、人の世界に出たほうがいい。
加山はそう考え、歩き続けていた。
(それにしても、おかしい)
毎日のように走り回って遊んだ山。
獣道ならともかく、鳥居が立てられているような立派な道を知らないはずはない。
でも、現に小さな鳥居を連ねた細い道が目の前に広がっているのだ。
(新次郎は大丈夫だろうか?)
ふと、共に遊んでいた弟分の新次郎のことを思い出す。
新次郎も今日一緒にこの山に入った。
怖がりの彼までこんな不可解な目に遭ってないといいのだが。
そんなことを考えていると、冷たい一陣の風が吹き抜けた。
森が不気味にざわめく。
加山は身震いした。

しくしくと泣くような声が聞こえた。
加山は一瞬それを幻聴かと思ったが、確かに聞こえる。
木の葉の囁きに混じって微かに聞こえる忍び泣き音。
加山は自然と足を速めていた。
「おい。どこにいる?」
「大丈夫か?」
一向に声が近くならないことに苛立った加山は声を上げる。
しばらく間があって返事があった。
「こ、ここだ」
声がしたのは鳥居の道を少し外れた場所。
加山は少し躊躇ったが、森に足を踏み入れる。
しばらく行くと蹲る人影が見えた。
若い男だ。
足首に針金のようなものが巻きつき血を流している。
恐らくは猪を捕らえる為のくくり罠にひっかかってしまったのだろう。
(それにしても何故)
子どもや年寄りなら分からなくもないが、普通に地面を見ていればすぐ気づくような大きな仕掛けだ。
よほどぼんやりとしていたのだろうか。
しかも、流血しているということは罠から力で逃れようとして暴れた証拠だ。
そんな愚かなこと子どもでもしない。
「動くなよ。助けてやるから」
まだ泣き続けている男に声を掛け、加山は懐から小刀を取り出した。
男の足首を締め上げ続けている針金を切断しようと少しずつ刀を動かす。
針金はあっけなく切れた。
「ほら、もう大丈夫だ」
そこで初めて加山の存在に気づいたかのように男は顔を上げた。
恐怖で泣きはらしたのか目の縁が赤く染まっている。
綺麗な男だと加山は思った。
「ありがとう」
男は微笑む。
男は薄汚れた襤褸の着物を着ていたが、腰には帯ではなく何かの獣の毛皮だろうか・・・白っぽいものを腰に巻き、結んで余った部分は無造作に垂らしていた。
男が立ち上がろうとする。
木々の間から差し込む光が腰巻に当たり、輝いた。
男の腰元で揺れるそれは加山には白銀の尾っぽのよう見えた。
立ったのも束の間、男はふらつき地面に倒れこむ。
足首の傷は見た目以上に深いらしい。
男は整った顔を苦痛に歪めた。
もう一度立ち上がろうと両手を地面につく。
男がそこまでして加山は自分がずっとただ突っ立っていたことに気づいた。
見とれていたのだ。
その男の全てに。
慌てて男に手を貸してやる。
男はなんとか立ち上がった。

加山は男を背負い歩いた。
男の家が近くにあるという。
加山は半信半疑ながらも、男の言うとおりに獣道を歩いた。
「ここ…」
男の指差した先には森と同化していまいそうなほど崩れた荒ら家が存在した。
「あそこに住んでいるのか?」
「そう」
男はきっと乞食か何かなのだろう。
腰巻だけは真っ白な獣皮のものを締めているが、着物自体は汚れてあちこちに小さな穴があいていた。
この山は稲荷信仰で有名な場所だ。
片田舎にも関わらず、年中参拝者が絶えない。
参拝者が山中に点在する社に捧げる供物には食べ物も多い。
そういう物を盗み食べて、この男は生きているのだ。
加山は直感でそう思った。

家の中に入ると、外見と同じく室内も荒れ果てていた。
箪笥や火を起こす場所も見当たらず、あるのは水や油が入っているのだろう数個の壷くらいのものだった。
「こんなところに住んでいるのか?」
男を背から下ろし、訊ねた。
男は寂しそうに頷いた。
すぐ近くに村もあるというのに、こんな廃屋同然の場所で、自分と年頃も近そうな男が、一人で暮らしていることに、加山の胸は痛んだ。
しかし、どうすることもできない。
自分がしてやれることといえば、足首の手当てをしてやることくらいだ。
とはいっても、布の一枚もないこの家では傷口を水で流すことくらいしかできない。
「ちゃんと清潔にしておくんだぞ」
加山がそう言うと、男は小さく頷いた。
その仕草は子どものように幼く、頼りなさげだった。

「もう行く」
こんな生きることも覚束無さそうな男を一人にしておくのは不安だったが、
もう日も暮れようとしている。
帰るしかなかった。
「なぁ、また会えるか?」
傷口が気になって仕方ないのだろう。
ずっと自分の足首を見つめていた男は、顔を上げる。
そして、微かに笑った。
「あ、でも、道が分からない・・・」
よく考えてみれば、加山には帰り道すら分からなかった。
「つく」
「え・・・」
「俺に会いたいと思う。そうしたら、つく」
謎掛けのような言葉だった。
罠に掛かっている時にもちらっと思ったことだが、男は頭も弱いのかもしれない。
そうだとしたら、ますます不憫だ。
加山はその後も道を聞こうと四苦八苦したが、男はあいまいに笑うばかりだった。
「なんとか自力で帰るよ」
そのほうが早いと感じた加山は家を出た。
辺りはもうかなり暗くなっていた。
「いそがないと・・・」
足早に歩き出そうとして、加山は思い出す。
男の名前をまだ聞いていなかったことに。
今、閉めたばかりの扉を開けて、訊ねる。
「お前、名前は?」
「一郎・・・」
男は答えた。
それは不可解な出来事としかいいようがなかった。
一郎に会いたいと思う。
そう思い、山へ入っていくといつのまにかあの荒ら家の前に辿りつくのだ。
どこをどう歩いたのかは覚えていない。
でも、辿りつく。
最初は魔術にでもかかったかのような違和感を感じたが、次第にそれも感じなくなった。

会いたいと思えば、会える。
それが事実だから。



出会った翌日には握り飯を持って、会いに行った。
日中に一郎を見てみると、昨日感じた以上に服や肌が薄汚れていた。
だから、川に連れて行って、流れを石で堰きとめて囲いをつくってやり、
そこに焼け石を投げ込んで、即席の風呂をつくってやった。
いくら石で流れを堰き止めてもぬるま湯くらいにしかならないが、
この季節、水浴びをしては風邪を引いてしまう。
嫌がる一郎の着物を無理やり脱がせ、風呂に入らせた。
風呂自体に入ったことがなかったのだろうか一郎は顔を顰め、足しか湯に浸そうとしなかったが、近くで着物を力任せに洗っていると、いつのまにか胸まで湯に浸してまんざらでもない顔をしていた。
「気持ちいいだろ?」
洗う手を止めて話しかけると、一郎ははにかみながら頷いた。
「糠袋でこするともっと綺麗になるんだぞ」
「・・・きれい?」
「そう。ぴかぴかつるつるだ」
「つるつる」
「今度持ってきてやるな」
「うん」

一郎は加山の言葉をおうむ返しにすることが多かった。
その様は言葉を取得しつつある幼子のようである。
言葉少なだった一郎の語彙は次第に増えつつあるような気がする。
もしかしたら、一郎は加山と会話をして言葉を学んでいるのかもしれない。
最初、言葉をもちあわせないようにあいまいに笑うことが多かった一郎は次第に年相応の言葉を話すようになっていった。
加山は加山で、一郎の世話を焼くのを楽しんでいた。
せっせと生活に必要そうなものを運んでやり、身の回りのことをしてやる。
親は家の手伝いをしないと怒り、弟分の新次郎は遊んでくれないとむくれたが、加山は一向に気にしていなかった。
一郎が笑えばそれで満足なのである。





その日、加山は大きな布団を抱えて山を登っていた。
「一郎!」
荒ら家を前に叫ぶと、家から飛び出してきた一郎は目を丸くした。
「これ何?」
「ふ・と・ん。まさかこういうのは見たことないか?」
訊ねると一郎は大きく何度も首を縦に振った。
もうすぐ季節は冬を迎えようとしているのに一郎の家には
何年使っているのだろうかという風な煎餅布団しかなかった。
加山は前々から一郎に山を下りて、村で生活することを勧めていた。
いくら一郎のことが気になっても毎日この荒ら家に来ることはできない。
村の一員になるつもりはなくても村の外れにでも住んでいてくれたら、
どれだけ安心できるだろう。
食べ物も頻繁に運んでやることができる。
しかし、一郎は頑として首を縦に振らなかった。
そこで仕方なく暖かい羽毛布団を持っていくことにしたのだ。
「これだったらふかふかだぞ」
そう言って、敷き布団を家の中に投げ込むと、飛びかかるようにして一郎は布団にのっかった。
大して大きくない布団の端から端までをごろごろと転がりながら、
「ふかふか」と呟いて、口には笑みを浮かべている。
そんな一郎の身体の上に加山は掛け布団も投げてやった。
一瞬、布団の中に埋まった一郎はすぐに上半身を起こした。
「ふかふか」
一郎は驚いた顔をしている。
「そうだろう。上も下もふかふかだろう」
思ったとおりの反応に満足し、加山は布団で遊ぶ一郎の様子を飽きずに眺めていた。
「加山、おいで」
一郎が手招きをする。
秘密の遊び場を友人にこっそりと教える子どものようだと加山は思った。
その仕草は愛らしく可愛らしい。
(よくないな…)
加山はそう思った。
今、一郎に無闇に近づいてしまったら、こんなにも純粋な存在を傷つけてしまいそうでー
これは前々から感じていた不安だった。
躊躇する加山に一郎は頬を膨らませた。
「はやくおいで」
もう一度手招きをする。
「はやくぅ」
先ほど拗ねた表情を見せたことなど忘れたかのように一郎は笑う。
「あぁ、いくよ」
加山は吸い寄せられるようにふらふらと歩みよった。

布団の中に入り込むと一郎は持ち上げていた掛け布団から手を離した。
頭から布団をかぶって世界が暗転する。
「まっくらー」
嬉しそうにはしゃぐ一郎を強引に引き寄せた。
一郎は前のめりになって腕の中に納まる。
「加山、まっくらこわい?」
暗闇の中で一郎はきょとんとした声を発した。
顔はよく見えないが、おそらく小首を傾げて微笑んでいるのだろう。
「いいや、怖くないよ」
一郎をぎゅっと抱き締めて囁いた。
「俺は一郎を失うのが怖いんだ…」
聞こえなくてもいいと思ったから。
いや、聞こえないほうがいいと思ったから。
「ん?」
言葉は思ったとおり一郎には伝わらなかったようで、
俺の腕の中で小さく身じろぎしながら「何…なに?」と繰り返している。
その様子があまりに可愛らしくて、これくらくらいは許されるだろうと思い、
白い鎖骨に口づけた。
「ぁ」
一郎が小さく声を上げる。
「くすぐったかった?」
一郎に訊ねる。
一郎は首を横に振った。
「ううん」
一郎は俺の首元に唇を押し付けてきた。
真似なのだろうか。
柔らかな感触。
「くすぐったい?」
一郎も聞いてきた。
「別に…くすぐったくないよ」
俺も首を振る。
一郎は頬を膨らませて、拗ねたような顔をした。
俺の着物の襟元を掴み、何度も唇を押し付ける。
何度も同じ辺りを吸われるとこそばゆい。
「くすぐったい…くすぐったいって」
笑いながら一郎の顔を遠ざけると、一郎もおかしそうに笑っていた。
拒絶の表情がないのが嬉しくて、歯止めがきかなくなり、一郎の唇を吸う。
二度三度繰り返すと一郎が瞳を閉じた。
全てを受け入れるようにー

瞳を閉じた一郎をそっと押し倒す。
「なに」
気配が伝わるのだろうか。
一郎は怯えた表情を浮かべていた。
「一郎が…怖いことはしないから」
髪の生え際の辺りを出来る限り優しく撫で、
抑えきれない欲望を必死に押し込めながら言った。
「しばらく目閉じていて…いい?」
一郎は小さく頷く。
もちろん一郎の綺麗な瞳を見ていたかったが、
一郎に自分の汚い欲望を見透かされそうで、嫌だったのだ。
まぁ、こんなことをしてしまっている時点でばればれなのだろうが。
着物の襟をくつろげていきながら、白い肌に接吻を施していく。
普段露出していない胸や腹の辺りは暗闇の中でも更に白いことがはっきりと分かった。
「俺だけのものになって」
夢中になって唇で触れ、舌で味わう合間に訴えた。
一郎は何も答えない。
ただ、敏感な場所を刺激されるたびに、
身体をくねらせ笑い声を上げた。
何の知識も経験もない一郎にとっては愛撫もこそばされているのと同じなのだ。
しかし、唇が下半身に及び、薔薇色の茎を口腔に含むと、
一郎の声は変わった。
「ひゃぁ」
と驚きの声が漏れ、次第に
「あっ…あ」
乱れた吐息に甘さが混じる。
気持ちと良さげな一郎の反応に嬉しくなって、
夢中で吸い上げた。
ぴんと立ち上がった茎はじわっとを雫を溢れさす。
口に含んだまま先端を舐め、雫を拭うと、また溢れる。
「やっ…だめ」
一郎がしきりに何か訴える。
返事をしてやりたくても、口が塞がっていて出来ない。
宥めるように細腰を撫でているうちに、
一郎は身体を痙攣させ、達した。
懐紙を取り出し、精を吐き出す。
「なに…」
約束を守り、瞳をぎゅっと閉じたまま一郎が聞いてきた。
「もう目開けていいよ」
一郎は上半身だけを起こし、こっちを見た。
呆気にとられた顔をしている。
恐らく射精した経験もほとんど皆無なのだろう。
「触ってみる?」
懐紙を差し出すと一郎は恐る恐る手を伸ばしてきた。
「わ…べたべた」
一郎が顔を顰める。
「一郎のここから出たんだぞ」
茎を指で弾いてやると、一郎はやめろといったかんじで自身を握った。
「びっくりした」
本当に驚いた表情をしている一郎を愛らしく思い、抱き締める。
「悪いことじゃないからな。心配しないでいいから」
腕の中で一郎が小さく頷く。
「どんなかんじだった?」
こういうことを聞くのは不謹慎な気もしたが、
一郎なら怒らないだろうし、どうしても聞いてみたかった。
「うーん」
一郎は小首を傾げる。
「気持ちよかった?」
そう聞くと、何を思い出したのか一郎は頬を赤く染めて、
「気持ちよかった」
と呟いた。



それからは会うたびにふかふかの布団で戯れた。
一郎は相変わらず遊んでいるとしか思っていないようで、
最初はきゃっきゃと声を上げ、くすぐったげに身を捩っているが、
快感が高まるにしたがって、眉を寄せ瞳を潤ませて見つめてくる。
白磁のような肌は桜色に染まり、もっと求めるように腰を浮かせる。
普段の無邪気さからは考えにくい乱れ方に、俺は溺れた。
会うたびに一郎を抱いて、更に底の見えない深みはまっていった。
身体を重ねるにしたがって一郎はさらに懐くようになり、
再会の度に破顔して笑い、別れ際には寂しそうな顔を浮かべる。
離れるとすぐに会いたくなって、日に二度も山に登ってしまったこともあった。
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